北九州の一隅呼子港の遠洋漁業組合長神谷太郎衛は組合の赤字の原因が持船第一肥前丸と第二肥前丸の船長唐澤源六と石黒軍造の不正にあるとにらんで二人を馘にした折よく戦時中船舶兵としてこの土地にいた魚住省吾が訪ねて来て後任船長を世話する約束をした省吾の紹介の新船長矢吹毅と渡の兄弟の指揮で久しぶりに第一第二肥前丸は出航大漁であったが市価の暴落で組合の頽勢を挽回することは出来なかったその上唐澤と石黒は色々な妨害をしかけて来た更に太郎衛の持船が減船令にひっかかり彼はそのため陳情に上京幸い願いはきかれたが病床に倒れたおどろいて駆けつけた姉娘美衛はかえってこのために永い間の省吾との恋が実を結び結婚を許されることになった一方呼子港でも唐澤等の悪事がばれ一味は警察隊に捕えられたその時町へ流れて来ていた踊子みどりはひそかに恋していた毅の身代りになって兇弾に倒れた第一第二肥前丸が日進水産へ引渡しのため呼子港を出て行く日毅と渡は甲板に立って見送る太郎衛に手を振っていた毅は省吾と結婚した美衛よりもいまは自分のために死んだみどりの姿を胸に渡は妹娘美輪から贈られたロザリオをその手に持って……
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